放射線治療には機能と形態の温存が可能な癌局所治療法であるという大きな特徴があります。更には近年のコンピュータ技術の発達によって、放射線治療は正常組織の被ばく線量をさらに減少させて、正確に照射する技術が発達しています。癌患者の半数が救命できるようになった現在、命を長らえるだけでなく社会復帰の可能なQOLの高い治療法への社会的要請が強まってきておりますが放射線治療はまさに時代の要求する癌治療法です。
研修内容と特徴
放射線治療には手術や化学療法と異なり1)形態・機能が温存できる2)いかなる場所でも狙って照射できる3)高齢者や合併症を有する患者にも適応できるという大きな利点があります。欧米においては新規がん患者の約60%に本治療が施行されておりがん治療の3本柱の1つとして確固たる地位を占めています。日本においても近年放射線治療の役割が急激に増大しており、2005年には新規がん患者の25%、2015年には40%の患者が放射線治療を受けると推定されており今後ますます飛躍が期待されております。当科は世界に先駆ける形で1989年より頭蓋内病変と頭頸部病変へのリニアックを用いた定位放射線照射法を開発し研究してきました。1999年からは肝・肺などの呼吸性移動のある臓器の疾患に対して体内にあらかじめ埋め込んだマーカーをリアルタイムに追跡しマーカーが決められた位置に来たときのみ照射する“動体追跡照射”を行っており腫瘍への線量集中と腫瘍周囲の正常組織の照射線量の低下を可能にしております。また強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)も国内に先駆けて治療を行っており一般的な放射線治療に加え最先端の放射線治療を体験・研修して頂く事が可能です。また世界初となる動体追跡陽子線治療装置を開発し2014年3月から治療を開始しております。当科での研修についてですが、原則として3・4年目の研修は大学病院で行います。放射線診断科(neuro・body・IVRの3グループ)・核医学診療科を最低3か月ずつローテートして放射線治療学に必要な画像診断の知識やIVRの基礎的手技を習得して頂きます。これは、Image-guided Radiotherapy (IGRT) という言葉が最近出てきているように放射線治療が各種画像と融合した方向に発展しつつあり放射線治療計画において画像診断の知識がますます必要になってきていることに対応するものです。また指導医の下で積極的に外来や病棟での診療に加わる機会でもありますのでこの時期に学会発表や論文執筆の基礎的事項を習得していただきます。5・6年目は大学病院或いは関連教育病院で放射線治療の症例経験を蓄積し研修を行います。臨床領域での研究の基本を学ぶ良い機会でもあります。また放射線治療専門医取得に向けた研鑽を重ねる時期でもあります。大学院進学に関してはローテーションの終了後の5年目を推奨しておりますが希望の時期で進学する事が可能です。
取得できる専門医・認定医
日本放射線医学学会放射線治療専門医教育研修施設
北海道がんセンター 函館市立病院 苫小牧王子総合病院 北見赤十字病院 札幌厚生病院 帯広厚生病院 旭川厚生病院 市立旭川病院 市立釧路総合病院 釧路労災病院 恵佑会札幌病院 日鋼記念病院 NTT東日本札幌病院研修プログラム(フローチャート)
