小児成人移行期医療支援センター

移行期医療支援センターは2017年全国7つの自治体においてモデル事業として設置されましたが、2018年12月の成育基本法制定により「小児期から成人期にかけて必要な医療を切れ目なく行うことができる移行期医療の支援」が明記され、各都道府県に1つ以上の移行期医療支援センターを設置することが目標と定められました。
このため、令和3年12月に「北大病院小児成人移行期医療支援センター」を設立いたしました。各分野別の移行期医療における現状と問題点についての情報共有、分野別移行期医療の啓発活動、自立支援ヘ向けた多職種連携のあり方などを協議し、北海道のスムーズな小児成人移行期医療を目指します。

北大小児・成人移行期医療支援センターの役割図

ご挨拶

2024年4月1日付で北海道大学病院教授‧小児成人移行期医療支援センター長を拝命しました。当センターは小児期発症の慢性疾患患者さんが心身の成熟に相応しい医療を継続して受けることができるよう支援する比較的新しい部門です。真部淳小児科教授が初代センター部長として牽引してこられたこのセンターを発展させていくことが私に課せられた責務と考えています。
半世紀前は救命困難であった疾患の子どもたちが、医学の進歩により、今ではその多くが成人に達することのできる時代になりました。その結果、健康管理は必ずしも小児期に終わるわけではなく、疾患によってはその後も寛解増悪を繰り返したり、過去の治療によって新たな問題に遭遇したりするということもわかってきています。それらは加齢とともに誰にでも生じうる医学的問題や心理社会的問題を孕んでおり、小児科の視点のみでは良質な健康管理が難しくなります。適切な時期に成人診療科の視点からも患者さんを診療することができる医療体制を整えることが重要と考えられるようになったのです。つまり移行期医療は小児科から成人診療科への単純なバトンタッチではなく小児期発症の慢性疾患のフォローアップに成人診療科の視点を導入するにはどうしたらよいか、というところがポイントです。
移行期医療の意義を患者さんやご家族、すべての診療科の医療者の方々に理解いただき、円滑な移行のためのシステム構築を目指してまいりますので、何卒ご理解、ご協力のほどお願い申し上げます。
                                          長 祐子

医療スタッフ紹介

  • 部長:長 祐子(小児成人移行期医療支援センター教授)
  • 副部長:豊嶋 崇徳(血液内科教授)
  • 副部長:安斉 俊久(循環器内科教授)

委員

  • 阿部 二郎(小児科循環器)事務局
  • 武田 充人(小児循環器)事務局補佐
  • 真部 淳(小児科教授)
  • 江川 潔(小児科神経・代謝)
  • 森川 俊太郎(小児科内分泌)
  • 寺下 友佳代(小児科血液・腫瘍)
  • 植木 将弘(小児科免疫)
  • 佐藤 泰征(小児科腎臓)
  • 兼次 洋介(小児科新生児)
  • 永井 利幸(循環器内科)
  • 荘 拓也(消化器内科)
  • 狩野 晧平(リウマチ・腎臓病内科)
  • 西尾 妙織(血液浄化部教授)
  • 亀田 啓(糖尿病・内分泌内科)
  • 後藤 秀樹(血液内科)
  • 矢口 裕章(脳神経内科)
  • 田口 純(腫瘍内科)
  • 佐藤 隆博(呼吸器内科)
  • 小林 範子(産婦人科)
  • 河原 仁守(小児外科)
  • 荒 桃子(医療技術部ヘルスサイエンス研究開発機構)
  • 齊藤 卓弥(児童思春期精神医学)
  • 石岡 明子(看護部)
  • 早坂 瑞樹(5-1病棟師長)
  • 丸山 喬史(小児がんチームMSW)
  • 杉本 由佳(医療技術部)
  • 三浦 厳(医療技術部)
  • 佐藤 規久(医事課)
  • 隅田 宇通(医事支援課)

日本小児科学会_小児期発症慢性疾患を有する患者の成人移行支援を推進するための提言

日本小児科学会_移行期医療における疾患別ガイド

「慢性疾患成人移行アプリ」

自治体向けサービスを開発する株式会社ミラボと厚生労働科学研究「小児期発症慢性疾患を有する全ての子どもに対する成人移行支援の均てん化と移行期医療支援センターとの連携に向けた調査研究(研究代表者:国立成育医療研究センター総合診療部統括部長 窪田 満)」班とが共同開発した患者さん用のアプリです。患者さん自身が自分の健康に関する記録をスマホ等でいつでも確認することができる便利なツールです。

【2024年度実績】

<学会発表、講演会・セミナーなど>

① 第132回 日本循環器学会北海道地方会(2024/11/23 札幌)
 北海道 ACHD セミナー 2024
 演題名;循環器内科の立場からみた移行期診療の現状と課題
 演者:石坂 傑

② 第26回 日本成人先天性心疾患学会 総会・学術集会(2025/01/10-1/12 大阪)
 シンポジウム 9「ACHD 医療の現状と均霑化 地方の現状と取り組み」
 演題名:北海道大学病院における ACHD 診療の現状と課題~北海道大学病院における ACHD 診療の現状と課題~
 演者:石坂 傑、永井 利幸、中尾 元基、安斉 俊久

③ 講演会/こどもから大人につなぐシームレスな医療支援(2024/8/6)
 演題名; 内分泌領域におけるシームレスな移行期医療を目指して~X 染色体連鎖性低リン血症・骨軟化症を中心に~
 演者:亀田 啓

④ 第24回日本内分泌学会北海道支部学術集会(2024/1/6)
 演題名;小児期の頭蓋内血管腫に対する放射線照射により成人後に下垂体機能低下症を呈した一例
 演者;亀田 啓、萬田 悟、古澤 翔、宮 愛香、中村 昭伸、渥美 達也

⑤ 講演会/日常に潜む骨疾患Web セミナー(2024/11/12)
 演題名;内分泌領域におけるシームレスな移行期医療を目指して~X 染色体連鎖性低リン血症・骨軟化症を中心に~
 演者:亀田 啓

⑥ 第32回日本ステロイドホルモン学会学術集会(2025/2/22)
 演題名;21-水酸化酵素欠損症患者における内科トランジション時の骨密度と血中 17-OHP の関連
 演者:亀田 啓、森川 俊太郎、遠藤 愛、金子 直哉、菱村 希、宮 愛香、中村 昭伸、中村 明枝、真部 淳、渥美 達也

⑦小児保健協会学術集会(2024/6/22 札幌)会頭講演
 演題名;多職種連携:小児がんを例にとって
 演者:真部淳

⑧ワールドキャンサーウイーク 2025(2025/1/26 東京)
 演題名;小児がん治療から AYA への移行における医療的課題
 演者:真部淳

⑨北海道血友病研究会(2024/11/08 札幌)
 演題名:小児血液疾患における移行期医療~北海道大学病院の取り組み~
 演者:長 祐子

⑩移行期医療・LTFU 講演会 in Obihiro(2024/11/15 帯広)
 演題名;移行期医療~造血細胞移植を受けた子どもたちのその後~演者:長 祐子

⑪RDD2025 in 北海道(2025/1/17 オンライン)対談:移行期医療を考えよう!
 パネリスト:長 祐子

⑫第9回小児造血細胞移植セミナー(2025/3/8 名古屋/オンライン)
 演題名:造血細胞移植後の子どもたち~北海道大学病院の長期フォローアップと移行期医療の取り組み~
 演者:長 祐子

<論文>

望月葉子、尾方克久、熊田聡子、今井富裕、赤星千加子、日根野晃代、北原理 恵、矢部一郎、望月秀樹、日本精神神経学会小児−成人移行期医療対策特別委員会、日本難病医療ネットワーク学会小児−成人移行期医療特別委員会
『各地における成人移行支援の取り組み:移行期医療支援センターの活動』臨床神経学(2024 年)64 巻 12 号、861-5