脳神経内科

1987年5月に道内で初めて北海道大学医学部附属病院に神経内科が開設されました。それ以来、当診療科は神経疾患や筋疾患の診療において 北海道内で中心的役割を担ってきました。当科で学んだ多くの神経内科専門医が広い北海道の各地で神経の病気や筋肉の病気の診断や治療に活躍しています。

医療における神経内科は欧米においては歴史的にも精神科、脳神経外科と並んで、神経疾患医療を担う基幹分野として発展してきました。しかしながら、一般のみなさまには神経内科という標榜科名が心療内科や精神科と区別しづらいとの声も聞かれる状況にありました。そこで、脳卒中や認知症などの有病率の高い疾患を診療する診療科であることを広く知っていただけるように、2018年3月に神経内科の基幹学会である日本神経学会から、神経内科から脳神経内科への標榜科名変更の推奨がございました(https://www.neurology-jp.org/news/change_name.html)。この標榜科名変更により、脳と神経の疾患を内科的に診療する科であることがわかりやすくなると期待され、また、世間一般によく知られている脳神経外科との対比になる内科であることの位置づけも明確になると考えることから、当院でも2021年4月から脳神経内科に標榜科名を変更致しました。

脳神経内科は脳、脊髄、末梢神経、骨格筋に生じる様々な病気について内科的に診療する専門分野です。心や精神の病気を中心にあつかう精神科や心療内科とは違う診療科ですので、間違わないようにしてください。また、認知症の周辺症状(徘徊・攻撃的行動・抑うつなど)などの精神症状に関する診療には対応しておりませんのでご了承願います。

このホームページでは、脳神経内科についてなるべくわかりやすく皆様に紹介させて頂きます。受診する際の参考になれば幸せです。

概要

診療分野

脳神経内科

  • 中枢神経疾患(大脳、脳幹、小脳、脊髄の各疾患)
  • 末梢神経疾患
  • 筋疾患
  • 神経筋接合部疾患

診療時間

初診受付:完全紹介予約制になっています。当科受診を希望される場合には、まずはかかりつけ医に相談し、紹介状を書いてもらってください。その上で、本院初診案内に従って予約をお願いします。

再診受付:再診が必要な場合は、事前に担当医と診療日時を打ち合わせし、予約してください。予約を変更される場合には、午後2時から午後5時の間に、脳神経内科外来にお電話下さい。それ以外の時間のお電話は診療に支障をきたす場合がありますので、ご遠慮下さい。

専門外来:完全予約制です。まず一般外来を受診して、担当医と御相談ください。

神経疾患を疑わせる症状

脳、脊髄、末梢神経、骨格筋を総称して神経系とよんでいます。神経系のどこに病気があるのか、その部位と原因により、様々な症状がでます。

以下のような症状があるときに、脳神経内科の受診が必要かもしれません。
頭が痛い、意識が遠くなる、物忘れをする、けいれんする、めまいがする、言葉が話しにくくなる、飲み込みにくい、むせやすい、力が入りづらい、筋肉がやせる、歩くのが大変になった、ふらつく、振るえる、しびれる、など。

診療体制

脳神経内科外来は北大病院外来棟の3階にあります。診療はスタッフ5名と医員が担当しています。多少の専門性はありますが、全員が神経疾患全般を幅広く診療しております。一般脳神経内科外来の他に、専門外来として、眼瞼痙攣や顔面痙攣を対象としたボトックス外来や、高次脳機能外来などが行われております。

脳神経内科入院病棟は北大病院の 6-2、4-2、2-2です。年間約350名の入院患者の治療に当たっています。脳神経内科病床は25床です。病棟診療は病棟医長の指導のもとで、脳神経内科専攻の医員が中心となり、チームを組んで診療しています。脳神経外科と共同で下肢のつっぱり(痙縮)に対する髄液バクロフェン療法やパーキンソン病や不随意運動に対する脳深部刺激療法にも取り組んでいます。

診療の手順

神経疾患の多くは、頭痛、しびれ、脱力、物忘れ、めまい、ふるえ、などの何気ない違和感から始まることが多いのが特徴です。診察には症状のあらわれ方を詳しくお聞きすることからはじまります。その後で、詳しい神経の診察をします。これには長い時間がかかります。ついで、病気の部位や程度を調べるために、血液検査、画像診断、脳波や神経伝導速度、など様々な検査を行って病気の診断をします。

診察の結果、病気の種類によっては治療を脳神経外科、整形外科、他の内科、リハビリテーション科、精神科神経科、耳鼻咽喉科、眼科などの関連専門分野に依頼することがあります。

また、神経の病気のなかには長期間の療養が必要となるものが多くあります。この場合は地域医療連携センターと連携し、療養施設の紹介、在宅療養の支援、各種社会福祉制度の活用などを相談しながら、今後の治療方針を立てるようにしています。

担当医師

職名 氏名 専門分野 所属学会・指導医・認定医など
教授 矢部 一郎 臨床神経学 日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医・指導医
日本頭痛学会専門医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医
准教授 矢口 裕章 臨床神経学 日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
日本てんかん学会専門医
日本臨床神経生理学会専門医(脳波分野、筋電図・神経伝導分野)
日本リハビリテーション医学会認定臨床医
外来医⻑
財務担当医⻑
リスクマネージャー
(助教・診療講師)
松島 理明 臨床神経学 日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医・指導医
日本認知症学会専門医
病棟医長
感染対策マネージャー
サブリスクマネージャー
(助教)
岩田 育子 臨床神経学 日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
日本認知症学会専門医
特任助教 白井 慎一 臨床神経学 日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・総合内科専門医
日本認知症学会専門医
特任助教 上床 尚 臨床神経学 日本神経学会神経内科専門医
日本内科学会認定医・総合内科専門医
非常勤医師 緒方 昭彦 臨床神経学 日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・指導医
非常勤医師 大槻 美佳 高次脳機能 日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本内科学会認定医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医

上記の他
日本神経学会神経内科専門医5名
日本内科学会認定医4名
日本内科学会内科専門医4名

主な検査・設備

検査

一般脳神経内科検査の他に、神経放射線学的検査(CTスキャン、MRI、脳SPECT、頸動脈エコー検査)、高次脳機能検査、生理機能検査(末梢神経伝導速度、短潜時感覚神経誘発反応)、重心動揺検査、筋生検、神経生検など

設備

神経放射線学的検査装置(放射線科ホームページ参照)
脳血流SPECT、ドパミントランスポーターSPECTなどの核医学検査装置(核医学診療科ホームページ参照)
生理機能検査装置 (ニコレーバイキング筋電計 1台、NIHON KOHDEN Neurofax EEG-7414 1台、磁気刺激装置 1台)
3次元加速度解析装置 (歩行解析装置)(LSIメディエンス MG-M1110S 1台)

診療実績

外来診療

2022年度(令和4年度) 初診外来患者数 684人(紹介率 92.3%)
2022年度(令和4年度) 外来患者延べ人数 13,942人

入院診療

2022年度(令和4年度)入院患者数 384人