歯科治療Q&A

予防歯科 Q&A

さすがに一生むし歯なしとまでは保障しかねます。しかし、乳幼児の頃から私達の外来を定期的に受診されている方には、ほとんどむし歯ができないのも事実です。3~4カ月(小学生から高校生の場合は、年3回の春・夏・冬の学校休暇時)に1度の定期受診をしてもらい、生活状況や間食(おやつや飲み物)の摂取状況や危険因子のチェック、歯みがき状況のチェック、フッ素やシーラントを積極的に行っているからだと思います。よろしければ、あなたもお子さんも私達の外来に受診させてください。きっと、ご期待に応えられると思います。

歯を失う原因はむし歯と歯周病ですが、現在これらの病気は予防が可能です。むし歯と歯周病のいずれも生活習慣病であり、その人個人の日々の生活習慣(食生活や歯みがきを含む)を背景としておこる病気といえます。生活習慣病には、糖尿病や高血圧、心臓病や脳血管障害などがありますが、これらの病気に共通した特徴として、本人が知らず知らずのうちに深くゆっくり、かつ静かに進行し、何らかの症状が表れるころにはかなり進行した状態になっていること、また完全な治癒がほとんど望めないことなどが挙げられます。むし歯や歯周病も同様です。痛みや腫れ、かめないなどの症状が出た時、その歯はかなり重症なのです。 「でも歯医者に行けば、むし歯も歯周病も治してくれるんでしょう?」と思う方がほとんどだと思いますが、むし歯は治療するといっても金属や合成樹脂などの人工物で置き換えること、歯周病は症状を和らげたり進行を止めることが主体です。私達の体で風邪が治ったり、ケガしてできた傷が癒えるのとは全く異なるのです。元通りになるわけではありません。治療した後も、再発の危険が常に伴います。メインテナンスが悪い場合、行き着く先は、“抜歯”(つまりダメになった歯を抜くこと)です。「ダメになった歯は抜いて、入れ歯にすればいいさ」という方もいますが、以前の歯と全く同じ感覚でかめる入れ歯はありません。入れ歯を入れることを余儀なくされて初めて、「もっと自分の歯を大事にしておくんだった」と皆さん後悔するのです。むし歯も歯周病も予防することがとても大事であることがおわかりいただけたと思います。ここでいう予防とは、むし歯や歯周病がおこらないことはもちろんですが、不幸にもすでに一度でも治療したむし歯や歯周病をそれ以上進行させないことを意味します。そのためには、日頃は受診者の皆さんに口の中のお手入れ(ホームケア、セルフケア)をしていただき、定期的に受診していただいた上で、専門家の目でチェックし、必要な処置を行うこと(プロフェッショナルケア)が重要です。定期的に受診していただくのはそのためです。

もちろんです。歯石がついたままにしておくと、歯周病になる危険性が高まります。食生活や唾液の性状によって、歯石がつきやすい人とそうでない人がいますが、いずれにせよ正しい歯みがき方法を実践することで、歯石の付着を防ぐことができます。私達の外来を受診していただければ、歯石の除去だけでなく、正しい歯みがき方法などをご指導いたします。

歯内療法 Q&A

虫歯(う蝕)はどこからでも発生しますが、通常歯ブラシが届きにくく歯垢がたまりやすいところから起こります。具体的には、かみ合わせの細かいしわや歯と歯の間、歯の根本が好初部位です。う蝕は歯の内部に向かって進行しますが、歯の中には神経(歯髄)があり、歯髄に炎症が起こると強い痛みを感じます。これが歯髄炎です。歯髄炎を放置しておくと、歯髄は死んでしまい、いったん痛みは消失しますが、炎症は歯根の小さな穴から骨(歯槽骨)に向かって広がり(根尖性歯周炎)、根尖病巣を作ります。そのころには、咬んだとき痛いという症状が出ます。それがさらに広がると歯ぐきに膿がたまり、ズキズキ痛みが出て最後には歯ぐきを破って膿が出ます。

歯髄の痛みは、歯髄を除去することにより消失します。歯髄は全部とらなくても痛みは消失しますから、ある程度除去して、歯にできた穴をただ埋めるだけの治療をされていた時代もありました。しかし、歯髄が残っていたり歯髄をとった後の管状の隙間(根管)を完全に埋めることができなければ、根尖性歯周炎に移行する可能性が高いことがわかってきました。そのため、今は歯髄を全て除去し、しかも根管を根の先までゴムのようなもので封鎖する(根管充填)治療に変わっています。それには、根の先まで器具を入れる必要があるため、その結果治療後の痛みが出る頻度が増えてきました。したがって、歯髄を除去した後の痛みは、治療の予後をよくするための努力の結果だとお考え下さい。

基本的には歯髄炎の治療と似たような治療ですが、強い痛みや歯ぐきの腫れがあれば、抗生物質を処方することもあります。原因は根管にありますから、根管に残っている歯髄や汚染したものを除去して、根の先まで封鎖することにより治癒します。根の先までの封鎖が難しい場合は、外科的に歯根の先端を切除する場合もあります。根尖性歯周炎には慢性のものもあり、その場合無症状ですが、放置すると痛みや歯ぐきの腫れが起こる可能性が高いため、治療の対象となります。その場合、無症状のものが治療により一時的に痛みが出ることがありますが、これも根の先まで器具を入れる必要があるために起こる結果です。

歯周病 Q&A

歯肉(歯ぐき)や歯槽骨など、歯をささえている組織の病気です。歯周病になると歯肉は赤みを増し、腫れて、容易に出血するようになります。また、歯根のまわりの歯槽骨は吸収してしまい、吸収がある程度進むと歯がぐらぐら動くようになります。歯周病は慢性の経過をとることが多く、症状が出にくい病気です。自覚症状としては、歯肉からの出血、咬んだときの違和感、口臭などが代表的ですが、強い不快感は出ず見過ごされがちです。時々、歯肉が大きく腫れ、膿がたまり痛みを伴う急性期をむかえることがありますが、それも時間がたてば自然に治ってしまうことが多く、放置されてしまいます。しかし、大きな腫れはなくなっても歯周病が治ったわけではないため、歯周病は確実に進行していきます。歯が大きく動き始めると、咬んだとき痛みを感じますが、それは歯周病がかなり進行した状態ですので、治療は困難となります。

歯周病の原因は歯垢(プラーク)です。家庭での適切な歯磨きと、定期的な歯科受診をしなければ、歯周病の危険性は高まります。歯周病の進行を早める危険因子としては、歯ぎしり、糖尿病などの全身の病気、喫煙、ストレス、遺伝、ホルモンの変化、栄養不足などがあります。

歯周病の原因である歯垢を除去することが基本です。歯垢の除去は毎日行わなければなりません。そのため、歯垢を効果的に除去するための適切な歯磨き法を患者さん自身が修得することが不可欠です。したがって、治療は歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの歯垢をとるための器具の適切な使い方を患者さんに身につけていただくことから始まります。歯垢が固まった歯石が付着していると、歯がでこぼこしてしまい、歯垢の除去が困難になります。歯石は歯ブラシでは除去できませんから、歯科医師がとります。歯石は歯肉に覆われている部分の歯根にも付着しており、歯肉を剥離して確実に歯石を除去する手術も行うことがあります。歯周病が治癒した後は、腫れていた歯肉が退縮するため、歯根が露出することが多く、それにより歯が長く見えたり、歯と歯の間の隙間が大きくなったり、あるいは神経がある歯ではしみるといった状態が起こります。しかし、現状ではそれらのことが起こることが予測される場合でも、歯周病の治療を行った方がいいと考えられています。歯周病は再発しやすい病気ですから、治癒した後も再び歯石がつかないように毎日の歯磨きが非常に重要です。再発がないかを検査するために、定期的な歯科受診も必要となります。

高齢者 Q&A

口をきれいにして虫歯や 歯槽のうろう、そのほかの口の病気を予防し口の健康を保持増進することです。口腔のケアは、ひいては全身疾患を予防し健康を保持増進することにつながります。人との会話や食事を楽しむことで、毎日の生活に対する意欲もわいてきます。

思うように食べられない、話せないといったことの原因を明らかにして、歯や顎の治療を行ったり、食べることや話すことの訓練をして、口の機能を回復・改善することです。

歯冠修復 Q&A

う蝕の進行の程度により方法は異なります。 う蝕が歯髄(歯の神経)に近いところまで進んでいたり、歯髄まで達している場合では、麻酔なしでの治療はとても痛いものとなってしまいます。歯科の麻酔は痛いと思われがちですが、針を刺すところにあらかじめ麻酔薬の入ったゼリー状やスプレーなどをつけておくと、針を刺すときにわずかに痛いか、全く痛みを感じません。ほんのわずかの時間痛いだけで、麻酔後は痛みを感じることなく治療を受けることができます。

う蝕の進みがあまり深くはないが、かぜや水などでしみるような程度の場合は麻酔を施しての治療のほかに、現在では、レーザー装置を用いた治療や、薬品で化学的にう蝕を軟らかくしてかき取る方法、細かい粒子をう蝕のところに吹きつけて削り取ってしまう装置の使用などがあります。

歯髄の炎症の程度の違いにより、症状が異なってきます。

冷たい水でしみるときは、う蝕による場合や、歯髄に炎症があってもまだ初期の段階であるといえます。しかし、冷たい水では感じず、熱いお湯で痛みを感じるようになってきた場合、う蝕の原因となる細菌が歯髄の方まで進み、歯髄の大部分が炎症をおこしているものといえます。つまり、熱いもので痛みを感じるようになると、う蝕がかなり進行し、歯髄全体にまで及んでしまっているといえるでしょう。

詰め物の周りがう蝕になっていることが考えられます。
詰め物がとれてしまう原因としてまず、詰め物の周りがう蝕になってしまっていることが挙げられます。う蝕の部分を削って、その場所に金属や、プラスチックの詰め物を入れますが、それらは健康な歯に対しては強力に接着します。しかし、歯と詰め物とのわずかなすき間からう蝕になることがあります。う蝕になった歯に対しては、接着力がかなり劣ります。そのため、詰め物がとれてしまうのです。特に、詰め物と歯とのすき間が大きかったり、詰め物を入れる時点でう蝕の部分が残っていたりするととれやすくなります。きちんとした処置を受けても、その後の歯磨き等を怠りう蝕になりやすい環境を作ってしまいますと、このようなことがおきてしまいます。日頃の歯磨きがとても大事です。

入れ歯 Q&A

部分入れ歯では通常、義歯を口腔内に留めるためにクラスプを使います。アタッチメントとはこのクラスプの代わりに使用する装置で種々な形態のものがあります。多くのものは歯の中に組み込む構造であるためクラスプのように目に触れず審美性が良好になります。また、精密に作られているため義歯の動きを少なくすることが可能で機能性に優れています。

金属はプラスチック(レジンという)より強度が高いので壊れにくく薄くできる、熱の伝わりがいいので食べた感じがいい、汚れを落としやすいなどの利点があります。特に、上顎に使用した場合にこの利点を生かせることができます。しかし、自費診療になります(ケースによっては自費負担分の一部が保健より支払われます)。

顎関節症 Q&A

顎関節症の原因には、咬み合わせの異常(強くぶつかる歯がある、奥歯の咬み合わせが低いなど)、無理なあごの使い方、悪習癖(歯ぎしり、くいしばり、片側ばかりでのかみ癖など)、精神的ストレスなどがあり、これらの原因が単独、あるいは複合して顎関節症を引き起こすと考えられています。また、顎関節や咀嚼筋の抵抗力の個人差も関係していると考えられています。

いちばん大きく口を開けたときの上の前歯と下の前歯の間の距離を最大開口量と呼んでいます。あごに異常のない成人の最大開口量の平均は45~50mm程度といわれています。ただし、あごの大きさや歯並びなどにより、個人差がありますので、一般的には、痛くなく40mm以上口を開けることができれば、正常範囲と考えられています。

障害者(児)の歯科治療 Q&A

当科では、歯科治療に対して協力的でない場合でも急性症状がない場合は、必ずしもすべて抑制具を用いて強制治療をするわけではありません。患者さんの状態をみて、また発達検査などを行い現在は歯科治療に対して協力的でない場合でも、トレーニングを行いつつ協力性を引き出すということも行っております。笑気吸入鎮静法が効果がある場合は積極的に用いております。しかしながら、抑制下あるいは全身麻酔下での治療法しか選択肢がない場合もあります。

一般的には、3か月程度といわれておりますが、虫歯のなりやすさ、歯周疾患の状態等、個人個人の条件によって異なります。

言語治療・口蓋裂治療 Q&A

言語発達遅滞、聴覚障害、失語症を含む脳機能障害、知的障害などが考えられます。

粘膜下口蓋裂を含む口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症、舌小帯短縮症、手術の後遺症によるもの、歯並びや咬合の異常、聴覚障害、麻痺性構音障害を含む脳機能障害などが考えられますが、ひとつの原因だけでなく様々な要因や誘因がからみあっている場合も少なくありません。さらに器質的問題が認められない機能的構音障害も多くみられます。粘膜下口蓋裂を含む口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症や後天的な麻痺による鼻咽腔閉鎖機能不全症の治療にあたっては口腔内の処置と連携した構音訓練が不可欠となります。

お母さんのおなかの中、胎生期に左右の突起がのびてきて、これらが左右くっついて口蓋(上あご)ができます(口唇裂もおなじです)。口蓋裂とはこの突起が最後までくっつかなかった状態をいいます。

今までに色々な考え方がありましたが、特別なことはありません。哺乳の姿勢、哺乳の容器、乳首の穴、赤ちゃんのお口の中での乳首の位置などについて適切な指導を受け実行すれば問題はありません。昔から行われてきたことです。このことは最近の欧米の学会雑誌でも再度報告され、アメリカの看護婦雑誌でも提唱されており、心配することはありません。

正常な言葉を得るための機能を与えるためです。

手術法については考え方の違いにより、現在種々の方法がありますが、どのような方法をとってみても、従来からの言語治療あるいは歯科矯正治療などを含めた総合的治療が全く必要の無い治療方法は存在しません。

歯ぎしり Q&A

「歯ぎしり」とは睡眠時などに歯を強くこすり合わせ、きりきりと音をたてることです。歯ぎしりが起こる原因はいろいろありますが、成長期に起こる歯ぎしりのように、かみ合わせを調整するための生理的な反応もあります。しかしかみ合わせに全く問題が無くても、強い歯ぎしりを日常的に行っている人もおり、歯ぎしりがどのようなメカニズムで起こるのかは未だ明確になっていません。日々のストレスが歯ぎしりに影響を与えるという報告もあり、これは現代人にとっては避け難いことかもしれません。

顎関節症の原因として、また高齢化社会を迎えて増加傾向を示す歯の破折や、修復物の脱落の原因となると考えられています。また、ブラキシズムが続くと、歯の痛みや肩凝りなどさまざまな不快症状が出る場合があります。さらに、ブラキシズムによる強い力は、重度歯周病の進行につながると考えられています。

口臭Q&A

誰でも起床した時や空腹の時は、口臭が出るものです。生理的なものとして、気になさらない方がよいでしょう。ただし、お口の中に問題(歯みがきの仕方が悪い、治療されていないむし歯や歯周病などがあること)が発見されることがあります。かかりつけの歯科医の先生に一度チェックしてもらうとよいでしょう。また、直接私達の口臭外来を受診されてもかまいません。

おそらく、唾液(つば)の分泌低下が疑われます。唾液が少なくなると口の中の細菌の活動が活発になり、様々な腐敗産物を作り出すことで口臭の原因になります。
唾液が少なくなる原因として、
1)生理的なもの(起床直後、空腹時、加齢、月経など)
2)仕事によるストレス(多忙な仕事、緊張の多い仕事、夜勤の多い仕事)
3)薬によるもの(高血圧や糖尿病など、慢性疾患の薬の副作用として)などがあげられますが、ご年齢から推察して、3)の薬の副作用によるものが最も可能性が高いと思われます。慢性疾患のお薬には大なり小なり、唾液の分泌を抑える副作用があるのです。ただし、これはあくまでも推察ですので、私達の口臭外来を受診され、原因を特定されることをお勧めいたします。

私達の口臭外来を受診される方には、口から不快な悪臭をまき散らし、周囲を辟易させている人はあまりいないのが現状です。そういった人達はいくら臭くともご自分の口臭が気にならないようです(だから当然受診しません)。逆に診査する私達からみて、「この人の口のどこが一体臭うのだろう?」と不思議に思う人が多いのです。しかし、当のご本人には深刻な悩みなのです。口臭が気になるのであれば、どうか私達の口臭外来を一度受診なさって下さい。きっと何らかのお役に立てると思います。

インプラント Q&A

使用するインプラントや装着する金冠の種類によって異なります。概算ですが、レントゲンやCT検査を含めた諸検査費用が5万円、インプラントを埋め込む手術費用が15万円、金冠(貴金属)が10万円ほどでインプラント1本当たりにしますと25万円から35万円です。これ以外に、手術を静脈内鎮静法や全身麻酔で行えば、この麻酔費用や入院(通常2-3日)費用が加算されます。
治療期間は、インプラント埋入から仮歯を入れて噛めるまで半年位です。その後、最終的に金冠を入れるまでの期間が必要になります。

全身疾患があり、抜歯程度の手術が出来ない場合や骨粗鬆症などの骨系統疾患、学童、超高齢者では行えません。また局所的には、歯の抜けた部位がインプラントするのに不適当であったり、その部位の骨の量が不十分であったり、顎の関節異常、高度のくいしばりなどがある場合には出来ない事があります。しかし、骨移植や顎の関節の治療などをしてから行える場合も少なくありませんので、相談されると良いと思います。

1-2本程度であれば、歯を注射麻酔で1-2本抜くのと同程度とご理解下さい。それ以上の本数を一度に行う場合は、鎮静剤を血管内に入れながら痛みの感受性を低下させて行ったり、全身麻酔により完全に無痛下で行うことも可能です。全身麻酔の場合は術後2-3日入院が原則です。手術時間は1-2本なら1時間程度です。

摂食・嚥下障害 Q&A

口から普通に食事が摂れない状態を摂食・嚥下障害といいます。全く口から食事がとれない状態(多くの場合経鼻胃管や胃ろうになっています)、かろうじて口から食べているけれども頻繁にむせたり、咳き込んだりしている状態、あるいは食事に1時間以上もかかってしまうなどいろんな状態があります。

通院可能な方には、まず透視下造影検査や内視鏡検査を行います。通院が困難な方には、在宅でいくつかの検査を行います。その結果から、原因がどこにあるのかを明らかにしたうえで、病状に合わせた治療や訓練を行います。訓練は食物を用いない間接訓練(唇、舌やのどの感覚や動きを回復させます)と食物を用いる直接訓練に分かれます。また、病状によっては食道ブジー(狭くなった食道の入り口を拡げる方法)も行います。どの訓練や治療法を用いるかは病状によって異なります。通常、訓練は3ヵ月続けていただき、その間1~2週間に1度の通院あるいは往診で、経過をみます。通常、3~6ヵ月で訓練や治療の効果がみられます。

薬 Q&A

病院から渡されるクスリの多くは、街中の薬局・薬店で買うクスリとはちがい、医師・歯科医師の処方せんがなければ、お渡しすることはできません。薬局・薬店で買うクスリは既製品、病院から処方されるクスリはオーダーメイドというわけです。ですから、患者さんひとりひとりの症状にあった適切なクスリがもらえます。クスリを使っているあいだ、何か気になることがあったら、必ず医師・歯科医師・薬剤師にお話ください。
処方薬は、医師・歯科医師の診断にもとづいて、その時の、あなたの病気を治したり、症状を改善するためにクスリを使うことが必要と考えた時に処方されます。ですから使わなくなったクスリを大事に取っておいて、似たような症状だからといって勝手に使ってはいけません。もちろん他の人にあげてはいけません。処方薬は医師・歯科医師の指示がなければ使えない、あなたのだけのクスリなのです。あなたが親切のつもりで人にあげたクスリが命に関わることさえあるのです。
歯科医師が、よく処方する「痛み止め」は、炎症や痛みの症状をおさえるために必要です。しかし、安易に使うと、大事な体の危険信号の症状である「痛み」や「腫れ」をおさえてしまいます。そのため大変な病気を見逃すことにもなりかねません。病院から渡されたクスリを取っておいて、自分の勝手な判断で使うと大変に危険です。

「痛み止め」と「解熱剤」は、見かけがちがっていても成分は同じだったり、似た成分が含まれている場合があります。坐薬と内服薬は、使い方はちがいますが、成分は同じ場合があります。成分を知らないで勝手に使うと、同じクスリを、たくさん使ったことになり危険です。処方医は、あなたの今の状態にあわせて、クスリの中身や形を選び処方しています。
あなたが受診した時に、他の病院や診療所にかかっていることや、使っているクスリのことを忘れずに話してください。 市販の「風邪薬」や「痛み止め」にも同じ成分や、似た成分が使われている場合があるので、不安を感じたら遠慮せずに医師・歯科医師・薬剤師に相談してください。あなたの健康に関わる大事なことです。自分で判断して「歯の治療には関係なさそうだから話さなかった」ということのないようにしてください。

レントゲン写真 Q&A

パノラマ写真は上下の顎骨や左右の顎関節まで展開されて写り、治療する歯がその中のどの辺にあって、周囲とはどのような関係にあるのか観察できます。また、潜在的な疾患があったとしてもその発見にも役立ちます。ただ、パノラマ写真は歯のX線写真ほど鮮明はなく前歯部に障害となる陰影が現れたりなどするため、実際に歯を治療するためには、歯のX線写真が必要になるわけです。

歯のX線写真一枚当り、実効線量当量は0.03mSv程度で 一年間に受ける自然放射線量2.4mSvと比べ小さな値です。
又、200mSv以下の低線量の被爆による有意な白血病の増加はみとめられておりません。

皮膚障害は、確定的影響でしきい線量があり、一定の線量を超える被爆をしないかぎり発生しません。その線量は、初期紅斑で2Gyで、一般の歯科や頭部の撮影では数mGy程度の線量ですので障害が発生する心配はありません。又、100mGy未満の少ない線量では確定的影響である胎児の奇形、水晶体の混濁、一時的不妊なども発生しません。

検査室 Q&A

患者さんの健康状態を内側から知る為に、患者さんの血液や尿の中に含まれる成分やその濃度を測定しています(検体検査と言います)。また、患者さん自身を対象にして行う検査(生理学的検査と言います)として、心電図や呼吸機能検査を通して心臓や肺の元気に機能しているか調べています。

この病院には、一般的な歯科治療の他にも様々な疾患を持った患者さんがいらっしゃいます。手術を要するような疾患や内科的・外科的疾患を同時にお持ちの方も多数受診されているのです。このような場合には治療前後の全身的な管理が大事になります。また、生理学的検査で得られた身体情報や検体検査で分かる体内の環境を参照して、患者さん一人一人に適切な麻酔処置を行う為の指標にもしています。

歯科用語集

専門用語で、一般にはなじみのない言葉を集めました。

  • ほてつ(補綴):歯の欠損を義歯・金属冠・継続歯などの人工物で補って、機能を回復させること
  • ブリッジ:歯の欠損部を補うため、複数の歯を支台として連結し、機能と外観を回復する方法
  • 義歯、デンチャー:入れ歯
  • 歯内療法:歯の神経の治療
  • カリエス:むし歯
  • テック:プラスチック製の仮歯
  • ポーセレン:陶材で作った歯
  • フィステル 瘻孔(ろうこう):歯肉にできた膿の排出される穴
  • アブセス:膿瘍、膿の溜まった袋状の組織