日本人の食塩摂取量の目標量は、成人男性7.5g未満、女性6.5g未満(日本人の食事摂取基準2020年版)ですが、令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査では、日本人の食塩摂取量の平均値は、成人男性10.9g/日、成人女性9.3g/日と上回っています。
入院患者さんのお食事や栄養食事指導において、塩分制限、減塩指導を行う中で、主食をパンとする際に問題となるのが、パンに含まれる食塩の量です。今や日本人の主食の摂取量ナンバー2となった「パン」ですが、実はナンバーワンの「米飯」の食塩相当量が0gであるのに対し、食パンは100gあたり1.3g(日本食品標準成分表2020年版より)となります。そのため病院食では、食塩制限のある患者さんのパンの提供機会が少なくなっているのが現状です。
海外に目を向けると、WHO(世界保健機関)では食塩摂取量は5g未満が指針とされています。また、イギリスでは、食品業界の取り組みとして、国民の主食であるパンの食塩を徐々に減らし、脳卒中などの梗塞性疾患の低減につながる成果をあげ、他国でも試みが行われています。
この取り組みを参考に、北海道大学病院栄養管理部では、2019年に北海道大学COI『食と健康の達人』拠点において、子どもも大人も高齢者も、そして疾患のあるかたも、おいしく“いつのまにか減塩”、さらにはSDGs/一人ひとりに最適な「食」の新しい価値を目指し、無塩パンのレシピ開発を開始しました。
食塩を使わないことにより不足する食感や味を補完するため工夫を重ね、北海道産の小麦粉「春よ恋」と全粒粉を使用した「おいしい無塩パン」レシピが完成しました。このレシピを応用し、北海道岩見沢市のブラッスリーにて岩見沢産小麦「キタノカオリ」を使用した「SALT0(そるとぜろ)食パン」を開発、販売を開始しました。2021年には動画サイトYouTubeチャンネル「おいしい! 北大病院レシピ」にて、無塩パンの展開拡大のためレシピを公開しました。
詳細については、こちらをご覧願います。