北海道大学病院整形外科(北大整形外科)における側弯症治療には50年以上の長い歴史があり、現在でも北海道内で最大の症例数を扱っております。診断から装具治療、手術治療に至るまで世界最高レベルの診療体制を構築しています。
毎週木曜日8時30分~11時00分受付
担当医師:須藤英毅
側弯症のなかで最も多いタイプであり、10歳以降の思春期を迎えた女性に多く発症します。30度未満であれば定期的な経過観察を行い、30度から45度位までの側弯は、年齢や、からだ全体のバランス、身長の伸びやレントゲン上の骨成熟度、女性であれば初潮を迎えた時期などから慎重に装具治療の必要性について検討します。さらに45度から50度を超えくるようになると手術治療を選択することが多くなります。よくご相談を受ける「整骨院」や「ぶら下がり健康器」による矯正は期待できず、全く効果がありません。
装具は主に3種類用意しており(図1)、カーブの位置や特徴をもとに判断し、完全オーダーメイドにより作成します。側弯症の装具治療に熟知した義肢装具士が複数人で作成し、作成後も定期的な修理、調整を行います。
脊柱変形矯正手術は、整形外科の中でも最も難易度の高い手術のひとつとして位置づけられております。北大整形外科は、この手術治療について世界的に有名な治療施設のひとつに挙げられており、現在もほぼ毎週火曜日に手術を行っています。またその優れた臨床成績について、世界的に評価の高い英文雑誌に論文を数多く発表してきました(Kaneda et al. Spine, 1996, 1997. Ito et al. J Neurosurg Spine, 2010. Sudo et al. J Bone Joint Surg Am, 2013. Spine, 2013, 2014)。以下に代表的な手術法について説明致します。
カーブの頂点が胸椎に位置していたり、S字状に弯曲して腰椎にもカーブがあるものが適応となります。この後方法が最も多い手術法です。背中の真ん中から背骨に到達し、椎弓根スクリューや横突起フックなどといった金属や超高分子量ポリエチレン製のケーブルを使用して変形を矯正します(図2)。術後は2週程度で自宅退院します。
カーブの頂点が腰椎に位置する場合には前方法がよい適応となりますが、腰椎カーブのパターンによっては後方法を選択する場合もあります。前方法では、肋骨に沿って背骨の側面に到達し、椎間板を切除したあとに椎体スクリューを入れて矯正します(図3)。後方法に比べ比較的短い範囲で固定可能となります。こちらも術後2週程度で退院します。後方法、前方法どちらであっても手術1ヶ月位前から北大病院輸血部で自分の血をあらかじめ貯血(自己血貯血)し、手術中に出た血も回収して再利用する(術中回収血輸血)ため、他人の血を輸血することはまずありません。
早期発症側弯症(図4)や神経筋原性側弯症(図5)、先天性側弯症などがあります。いずれもカーブが進行すると装具治療や手術治療を必要とします。
10歳未満に発症するため、最初から固定はせず、年2回程度矢印の所を延長する手術を成長が終了するまで続け、最後に固定術をします。
先天性ミオパチーに伴う側弯症。バランスをとって座ったり、歩くことが著しく困難となったため手術を行いました。