統合失調症の症状は、他の人に聞こえない声が聞こえる、考えがまとまらないなどの陽性症状、感情の働きが鈍くなる、やろうとしてもやる気がでないなどの陰性症状の他、記憶力、注意力や集中力、順序立てて考える能力が低下する認知機能障害という症状があります。症状の現れ方は人それぞれであり、それぞれの症状を客観的に把握し、治療と関連づけることは重要です。特に認知機能の障害は最近注目されてきている障害であり、毎日の生活や仕事にも影響を及ぼすとされています。
現代の脳科学の発達により、脳の形や機能、神経の活動についての多くの情報がえられるようになってきました。統合失調症についても、このような検査によって、これまでわからなかったさまざまな健康な人との違いが明らかになってきています。この中には、認知機能検査のように、検査結果が実際の治療方針の決定に重要な意味を持つものもあります。
認知機能検査はすでに北海道内でもいくつかの施設で導入が始まっていますが、脳画像検査、脳機能検査を含めた、先進的な検査を包括的に受けられる施設は、北海道にはまだありませんでした。そこで北海道大学病院では大学病院ならではの豊富な検査施設と進んだ技術を活かし、統合失調症にあわせた検査を集中的にうけることができる短期集中型の検査入院を開始します。この統合失調症検査入院によって状態を客観的に把握し、より良い治療が進められることを願っています。
統合失調症と診断され、他院(以下かかりつけ医)通院中の方で、検査を希望する方(かかりつけ医の紹介状が必要です)
検査入院していただく前に、一度外来にて問診・診察をさせていただきます。かかりつけ医か患者様ご本人に当科外来まで電話していただき、外来受診の予約をおとりいただきます。
診察時に、かかりつけ医の紹介状をお持ちください。診察では、緊急に対応が必要であるか、また追加の検査が必要かを判断させていただき、入院の期間、費用や負担などについてご相談、ご説明させていただきます。
基本的に任意入院であり、開放病棟の大部屋を使用いたします。ご希望であれば別料金で特別室をご用意できます。原則火曜日の10時に入院いただき、土曜日に退院いただくという4泊5日の入院となります。ご家族の迎えなどの便宜上、日曜日に退院することも可能です。なお、病状が悪く検査続行が難しいと医師が判断した場合、無理せず退院していただく場合があります。
退院後は、もとの主治医のもとでの通院を再開して頂きます。(本入院は短期間に多種類の検査を受けて頂き、その結果を今後の診療に活かしていただくことを主目的としております。このため原則北海道大学病院での継続診療は行っておりませんので予めご了承ください)
多くの検査項目があり、各専門家の意見を集約するのには時間がかかります。そのため、退院時に全ての検査結果を踏まえて説明することはできません。後日(およそ1ヶ月後)来院して頂き、説明させて頂きます。尚、かかりつけ医にはさらに詳細なレポートを郵送させて頂きます。また、半年ないしは1年おきに、フォローアップ検査をお願いする場合がありますので、ご了承ください。